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愛莉が自殺した日、私は隼くんを誘った。
その理由はたった一つ。
私の妹……
山内菜摘が、隼くんに異常なまでの執着をしていたから。
菜摘は、今から5年前に事故で突然亡くなった。
当時、菜摘は一人暮らしをしていて、折り合いの悪かった私や両親とはほぼ会っていなかった。
だから、当時の菜摘が普段どんな生活をしているのかは知らなかった。
全て、菜摘が残した手紙と日記によって、菜摘の死後に分かったのだ。
だけど、私はそれらを見たときに驚いた。
そのほとんどが、隼くんに関する記述だったから……。
菜摘は生前、私に似て男に汚かった。
常に遊べる男を側に置き、特定の彼氏を作ることもほとんどなかった。
ましてや、誰かに真剣に恋することなんて……
それなのに、菜摘の手紙や日記には、溢れんばかりの隼くんへの愛情が描かれていた。
あの菜摘があんなに情熱的に人を好きになることなんて、想像もできなかった。
私はふと、菜摘の日記を取り出した。
そう、あの日も……
隼くんと関係を持った日も、私はこの日記を読んでいたの。
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