ビッチ姉妹の話⑦

1/1
282人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ

ビッチ姉妹の話⑦

「ああ〜〜よかった!喜んでもらえて…!」 隼くんは私の反応が相当不安だったのだろう。 私が喜んでいることを知って、安心しきったように破顔した。 「隼くん、人の好みとかちゃんと見てるんだね!さすがだよ」 私は素直に感心したことを伝えた。 「菜摘さんのことしか見てないよ?……本当に好きだから、菜摘さんについて何でも知りたくて、ちゃんと見てたんだ」 「っっ……!」 隼くんは、こんなことをも恥ずかしがらずに無垢な目を向けて言ってくる。 対して言われた私は、思わず顔を真っ赤にして言葉に詰まってしまった……。 「……っありがとう…」 火照る顔とうるさくなる心臓に、年甲斐もなく翻弄されていた。 隼くんは、きっと恋愛経験の少なさや女性への抵抗の無さのおかげで、良くも悪くも無意識にこんなことを言えてしまうのだろう。 小学生相手に、こんなにドキドキするなんて、思ってなかった。 とても新鮮だ…。 「隼くん……私からも、隼くんにプレゼントがあるの。……少し、私の家に来てくれない?」 恋人たちが作り出す淡い雰囲気に満ちた巨大クリスマスツリーの前で、私は大決心をした。 元々、隼くんを今日初めて家に招いて、二人でクリスマスパーティをしようとは思っていた。 だけど…… 私はこの日、隼くんの全てを奪ってしまおうと決めたのだった。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!