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ビッチ姉妹の話⑦
「ああ〜〜よかった!喜んでもらえて…!」
隼くんは私の反応が相当不安だったのだろう。
私が喜んでいることを知って、安心しきったように破顔した。
「隼くん、人の好みとかちゃんと見てるんだね!さすがだよ」
私は素直に感心したことを伝えた。
「菜摘さんのことしか見てないよ?……本当に好きだから、菜摘さんについて何でも知りたくて、ちゃんと見てたんだ」
「っっ……!」
隼くんは、こんなことをも恥ずかしがらずに無垢な目を向けて言ってくる。
対して言われた私は、思わず顔を真っ赤にして言葉に詰まってしまった……。
「……っありがとう…」
火照る顔とうるさくなる心臓に、年甲斐もなく翻弄されていた。
隼くんは、きっと恋愛経験の少なさや女性への抵抗の無さのおかげで、良くも悪くも無意識にこんなことを言えてしまうのだろう。
小学生相手に、こんなにドキドキするなんて、思ってなかった。
とても新鮮だ…。
「隼くん……私からも、隼くんにプレゼントがあるの。……少し、私の家に来てくれない?」
恋人たちが作り出す淡い雰囲気に満ちた巨大クリスマスツリーの前で、私は大決心をした。
元々、隼くんを今日初めて家に招いて、二人でクリスマスパーティをしようとは思っていた。
だけど……
私はこの日、隼くんの全てを奪ってしまおうと決めたのだった。
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