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序 章
深夜の校庭。街灯もなく真っ暗闇。静寂とはこのことだろう。
俺はいま、タイマンを張る所だ。一つ年下のめっちゃヤンキーにタイマンを申し込まれたのだ。
喧嘩無敗。
そりゃそうだ、喧嘩なんて一度もしたことがないのだから。
これが17歳のときの俺につけられた称号だ。
ただ、彼女が欲しかっただけなんだ。
ただ、パシリにされるのが嫌だったんだ。
ただ、童貞を捨てたかっただけなのに。
どうしてこうなった。
毎日毎夜、暴走を繰り返し気づけば暴走族の総長に。
俺に何が起こったんだ…。
その記憶をゆっくり戻していこう…。
時はスマホもインターネットもない時代。
1990年代後半。
あれは確か、1995年に中学校を卒業した俺は、まず高校デビューすることにしたんだ。なんでって?そりゃ中学の時は、普通の中学生だったからだ。
普通も普通。タバコも吸わない。自慢出来る悪いことといえば、せいぜいほとんど標準服にしか見えない、変形と呼ばれる学ランを着て、見えるはずのない裏ボタンをつけて、校則違反の自転車に乗って通学する程度だ。
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