汚(けが)れ 無き 路

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 激しい雨は、夜中まで続いた。    神社前の車道の、渦巻く雨の空間に、突然、無数の御札が舞い上がった。    降り落ちる雨の中、ずぶ濡れに生った悠一が、御札を巻き上げ狂喜していた。  お札は、降り注ぐ雨に洗われ、路上の水流に浮かび、列を成して次々と側溝に流れて行った。    全ての御札を投げ終えた悠一の顔に、満足そうな喜びの表情が!    悠一の目に、美しいお姉さんの優しく微笑む姿が、浮かんだ。  ー お姉さん !! ー    満面の笑みで、悠一が、 お姉さんの幻影に駆け寄ろうとした時 !  雨煙の暗闇に、けたたましいクラクションの音とブレーキ音が !    ヘッドライトの光に、悠一の、恐怖に引き攣る顔が浮かんだ、瞬間 !  真っ赤な血しぶきが、 飛び上がった……    数日後、シトシトと雨が降っていた。  神社前の道路わきに、白い百合の花とオレンジ色の百合の花が、ひっそりと置かれていた。     シトシト降る雨音が、(けが)れの無い清らかな音に聞こえた……                                              完 、
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