汚(けが)れ 無き 路

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 雨の車道を駆けている悠一の足が、驚きで、止まった。     遠方の神社の鳥居の石段に、悠一が隠していたはずの汚れた御金の入った金属箱を抱えた、お姉さんが、ずぶ濡れの姿で立っていた。    雨まみれの悠一の顔に、満面の、喜びの表情が浮かんだ。  ー 美しい お姉さんは、生きていた! ー    瞬間!  降りしきる雨の車路に、黒い乗用車が現れた。  車から降りる三人の男たちの影が、雨煙(うえん)の中に立つ 清らかな お姉さんを、取り囲んだ。  悠一は土砂降りの雨の中、車道に、立ち尽くした。  怯える悠一の手から、白いコンビニ袋が離れ、雨水に流されて行った。  御金の入った金属箱を取られまいと必死に抵抗する、お姉さんを、男の一人が殴り飛ばした。  倒れてグッタリした お姉さんの体を、3人の(けが)れた男たちが抱え、神社の暗い参道の中に引きずり込んで行った。  恐怖で立ち尽くす悠一の、(けが)れた心に、参道で白い衣服を()がされ白い肌が露わになった、お姉さんの裸体が ……  汚れた男たちの体が覆い被さる光景の中に、必死に抵抗する、お姉さんの悲痛な姿が ……    悠一の体は、怯えの中で固まっていた。  悠一の心は、雨煙に霞む戦慄の光景が、幻影に現実に、乱れていた ……    悠一の目に、更なる異様な空間が!    神社から狂喜の男たちが、衣服の乱れた お姉さんを担ぎ上げて出て来た。  そして狂った男たちは、お姉さんの体を、土砂降りの車道の真ん中に放り投げた。  男たちは黒い車に乗り込むと、車を少しバックさせて、車道の真ん中で立ち上がろうとしている、お姉さんの体、目掛けて、急発進した。  ヘッドライトの光の中に、恐怖で引きつる お姉さんの顔が浮かんだ。  一瞬で土砂降りの雨の中に、真っ赤な戦慄が、跳ね上がった ……   道脇の雨の中に、衣服が剥がれて血まみれの お姉さんの体が、転がっていた。  悠一は、うわっー !と声を上げ、狂ったように、お姉さんの体に駆け寄った ……
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