汚(けが)れ 無き 路

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汚(けが)れ 無き 路

 見詰める路上に雨が槍の様に降り落ちていた。  跳ね上がる水飛沫(みずしぶき)雨煙(うえん)の中に(かす)んでいた。    人通りの無い(やみ)の空間だった、冷たい雨がザーザーと(うな)りを上げる中、あの女人(ひと)(けが)れた恐怖が襲っていた。    悠一(ゆういち)の視界は、ガタガタと震え、歪んで行った。    ー 空から降り注ぐ雨が、(けが)れた世界を、(けが)れた体を、(けが)れた心を、綺麗に洗い流してくれます ー  と、透き通る姿の清楚なあの女人(ひと)は、言った。     悠一(ゆういち)は、自分の(けが)れた心を綺麗にして呉れるのは、あの美しい女人(ひと)だと信じていた……  
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