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「やべっ……」
風呂の水を止め忘れた……
ちょっと待てよ。
きっと下の階の奴はぶったまげてるだろう……
仕方ない……
後で謝りに行くかぁ……
急いで風呂場から溢れた水を拭いて、下の階の307号室の奴に謝りに行かねば……
えっと……
やっぱり、お詫びの品を持っていかないとマズいな……
誰だから分からない奴に、菓子折りなんて持って行くなんてもったいないぞ。
家に有る物をあげよう。
えっと……使わないでやれる物はないかいなっと!
おっと、あった!
俺の友達がロシアに行った時のお土産のマトリョーシカだ。
マトリョーシカ人形を開けたら、またマトリョーシカ。
これならきっと喜ぶだろ!
1人で行くのは面倒だから、カゲを誘おう!
あっ、カゲが水を出しぱなしにしたって事にしよう!
名案!名案!
「わっ……いつの間にカゲ、ここに居たんだ!」
「おい!すべて、ひーちゃんの独り言を聞いたぞ!」
「す、すまん。
頼む、一緒に謝りに行ってくれ!心の友よ。」
「分かったよ。」
《ピンポ〜ン♪♪♪》
「はーい!」
あっ、金髪の男の子だ……!
「す、すみません。水を溢れさせてしまって……」
「あっ、大丈夫!お互い様だよ。
僕、ダーチャ、ロシア人なんだ!
僕の恋人紹介するね。」
「初めてまして!水上祥です。」
「わっ、あ、あ、あ、あなた達も、もしかしてBL?」
「はい!」
「お近づきに僕の国の人形あげるよ。」
「好きなの選んで!」
「マトリョーシカぱっかりじゃないか……」
「じ、じゃこれ……
で、では、私達は失礼します。」
「祥、あの人達許してやったけど、お詫びの品も何も持って来なかったね……」
「そうだな……あんな人とは付き合いは辭めよう。」
「うん!祥、じゃさっきの続き始めよう♡!」
「お、おい!カゲ、こ、ここは本当にどうなってるんだ……
お詫びの品、さすがに渡せなかったな……
マトリョーシカ人形がまた増えた……」
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