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「いや、待ってください!」
「どうかされましたか?」
暮内が口にしたこころクリーニングが何かは全く理解できていない燈だったが、それ以前に気になる事があった。
「自殺者の救済って・・・私・・生きてますよね?死んでませんよね?どういう事ですか?」
「少々お待ちください」
燈の質問に暮内はバインダーに挟まれている数枚のプリントをペラペラとめくりながら
「えー、資料によりますと間宮様は、自宅の自室にて大量の睡眠薬を服用したのち、意識不明に陥った
しかし、程なくして、予定の時刻より早めに帰宅されたお母様が救急車を手配され
現在は病院のベッドの上で昏睡状態にある!と記載されております」と語った。
「お母さんが・・・」
自分の自殺が未遂に終わっていたのだとう事実を目の当たりに、ショックだという気持ちと、自分を救ってくれた母への感謝の気持ち入り混じり、複雑な心境になる燈。
しかし暮内は、燈は現在、病院のベッドの上で昏睡状態だと言っていたが、ここは病院なのか?
そもそも昏睡状態の自分がなぜこのような場所にいるのか?
燈は全ての疑問を暮内に投げかける。
「病院に居らっしゃる間宮様はいわゆる本体。
そしてこちらに居らっしゃる間宮様は魂の状態であると思っていただけたら良いかと」
「た、魂ですか・・・」
暮内の話は荒唐無稽すぎて、燈は自分がまるで漫画や映画の世界に迷い込んだような感覚を覚えていた。
「間宮様の魂が現在こちら側に居らっしゃるが故に、病院の本体が昏睡状態になっているという訳でございます」
今の暮内の言葉により、少しだけではあるが、現在自分が置かれている状況を理解する燈。
しかし、謎はまだ残っている。
「じゃ、じゃあ・・ここは何処なんですか?」
「ここは【こころ部屋の待合室】でございます」
「こころ部屋?」
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