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(また新しい用語がでてきた・・) 自分が置かれている状況を少しではあるが理解してきた燈だが、この状況が非現実である事は間違いない。 「こころ部屋って何ですか?」 「詳しくは向かいながらご説明いたします」 「向かう?向かうって何処に?」 「間宮様の【こころ】でございます」 ✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎ 燈は訳もわからないまま、暮内に連れられ、こころ部屋なる場所へ通ずる、ひたすらに長い渡り廊下をあるいていた。 何が何だか理解出来ていない燈だったが、暮内(この人)は信頼できる。不思議とそう感じていた。 「こころに向かうってどういう意味ですか?」 「こころという物は、実はひとつの部屋のように造られているんです」 「部屋・・・ですか?」 「ええ。我々はそれをこころ部屋。そう呼んでおります。」 暮内の話によると、人のこころは、ひとつの部屋のように造られており、その部屋には喜怒哀楽、感情が収納されているらしい。 楽しかったや、嬉しかったなどといった喜びの感情を「生の感情」と呼び、逆に、苦しかったや、悔しかったなど、悲しみの感情を「負の感情」と呼ぶ。 こころ部屋は、その生の感情と負の感情が入り混じり造られているらしい。 いまいち理解できなかった燈だが、見れば直ぐに分かるという暮内に促され、ただひたすらに長い渡り廊下を歩く。 そして、こころ部屋のドアの前に着く。 「こちらが、間宮様のこころ部屋でございます」 そのドアの上には「間宮燈のこころ」 そう書かれたプレートが取り付けられていた。 「ここが・・・こころ部屋・・・」 目の前の部屋が、自分のこころと言われても実感が湧かない燈だったが 「では、開けてみてください」という暮内の言葉に従い、恐る恐るドアを開く。 ガチャ
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