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少女が目を覚ましたのは、教会のような場所だった。 いろどり鮮やかなステンドグラスには、健やかな顔で笑う子供のイラストが描かれており 装飾が施された祭壇には、ハート型のオブジェを暖かな眼差しで抱きしめる聖母(マリア)像が祀られている。 「ここ・・・どこ?」 少女はあまりの事態に、状況を飲み込めていない。 「私・・・自殺したはずなのに・・・」 そう。少女はつい今しがた、自宅の自室にて大量の睡眠薬を服用し、自殺したはずだった。 「私・・・生きてるの?」 自分は自殺したのにも関わらず、こうして生きている。 そんな状況に少女が呆気に取られていると、スーツ姿の優しい表情をした男性が声をかけてきた。 「ようやくお目覚めのようですね、間宮(まみや)(あかり)様!」 「え?誰?それに何で私の名前を?」 見知らぬ場所で目を覚まし、見知らぬ男性に名前を呼ばれる。 何もかも訳が分からずに、動揺している燈を尻目に、男性は淡々と語り出す。 「いきなりの事態で困惑されているとは存じますが、順を追って説明させていただきます」 男性は燈に深々とお辞儀をする。 「は、はい・・・」 「まず、自己紹介をさせていただきます。」 男性はそういうと、懐から一枚の名刺を取り出し「私はこういう者でございます。」と丁寧に挨拶をしてきた。 その名刺には 「こころクリーニング 暮内(くれない)亜紋(あもん)」 そう書き記されていた。 「こころクリーニング?」 「左様でございます」 燈は暮内にこころクリーニングとは何かを尋ねる。 「こころクリーニングとは、自殺を行った方々のこころの清掃をお手伝いさせていただく、自殺者救済機関でございます」 「こころの清掃?自殺者救済?」 暮内にこころクリーニングとは何かを説明されても、燈には微塵も理解できなかった。 こころを清掃するとは何だ。意味がわからない。
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