レンタルチュー

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「おはようマリ」 「おはようパパ」 「…マリ、忘れてるぞ」 「マリ、何も忘れてないよ」 「忘れてるよ!おはようとおやすみの後は、いつもパパの頬っぺにチューしてくれるだろ」 「もうパパにはチューしない」 「えっ…マリ、今、なんて言った?」 「パパにはチューはしないって言ったの!」 「なんで?なんでチューをしてくれないんだ!」 「レンタルチューだから」 「レンタルチュー?」 「私のチューは今、幼稚園で同じクラスの和馬君にレンタルチューなの」 「和馬君って…マリ、お前パパ以外の男にチューしてるのか!」 「そうだよ」 僕はショックで朝食を食べることができなかった。 そんな僕に妻は言った。 「レンタルってことにしておけば返却の可能性があると思えるでしょ。だからあなたが受けるショックが少しはマシになると思ってマリに言わせたんだけどダメだったみたいね…。私がマリの代わりにいっぱいチューしてあげるから元気出して」 「お前にマリの代わりが務まるわけないだろ!」 その後、僕は二度と娘から、そして妻からもチューをされることはなかった…。
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