ホワイトムスクの一夜彼氏

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「お酒は飲まれないのですか」 と新郎の村上が私に訊く。 「ええ、車で来てしまって…」 そう言い微笑んだ。 「仕事の都合で遅くなってしまって」 上杉さんは新婦と話を続けていて、あまり会話をするとボロが出てしまう確率が上がってしまう、 「お忙しいのに、ありがとうございます」 村上はまた丁寧に頭を下げていた。 「料理も準備してますので、どうぞ」 村上は私に店の奥に並んでいる料理の方を手で指した。 「ありがとうございます。戴きます」 そう言うと新郎はまた別の友人に呼ばれ、挨拶していた。 ふう…。 助かった。 私は組んだままの上杉さんの腕を引っ張る。 上杉さんもそれに気付き、新婦との会話をやめた。 そしてその場を離れ、奥の食事あるスペースへと向かった。
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