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邪神復活
勇者ロトトと大魔王リポポは、女王に依頼された島にやって来た。島の丘には古い大聖堂が建っている。ふたりはその入り口の前にいた。
「俺ひとりで良かったのに?」
「私も興味があるのよ」
「大魔王だから?」
「勘かな。ピンと来たのよね。ビビビっと」
「まあ、何でも良いけど。中に入ってみるか?」
「そうね」
ロトトはギィーと大聖堂の扉を開ける。
「建て付けが悪いな」
扉を開けると、そこには巨大な石像に祈りを捧げている男がいた。集中しているためか、男は俺たちに気がついていない。服装からは司祭のように見える。男は叫んだ。
「さあ、甦れっ、邪神アポポよ!」
ピキ、ピキ、ピキーっ。
巨大な石像に亀裂が入る。次の瞬間、表面がボロボロと剥がれ出す。石像の内側から何かが現れ1歩前に出た。ドスン、ドスン…。それは禍々しい雰囲気を放ち、俺たちの前に立ちふさがった。ドドドドドォォォー!
「我は名は邪神アポポ!魔界の支配者な…り…。 ん?」
邪神がこちらをチラッと見た。俺の隣にいるリポポを見ている。リポポも何かに気がついたようだ。
「あら、アポポじゃないの!?」
「なんと!リポポさま。お久しぶりでございます」
「あなた元気だった?」
「私は元気でございます。ルリリさまもお元気でしょうか?」
「母は相変わらずね」
邪神アポポと大魔王リポポは知り合いみたいだ。俺の役目はなさそうだな。俺はリポポに聞いてみる。
「邪神はリポポの知り合い?」
「私と言うよりは母の知人ね」
「世界は狭いな」
「ロトトはアポポのこと知っているの?」
「いや、俺は知らん」
「アポポは良い邪神なのよ。仲良くしてね」
俺はふと思った。良い邪神って、それは邪神ではないのでないか?
そして、邪神と大魔王はどちらが強いのだろうか?
そんなどうでも良いことを考えていると、俺は邪神に紹介されることになった。
「アポポ! こっちは勇者ロトト。よろしくね」
「どうもロトトです」
「初めまして。私はアポポです。ロトトさん、これからよろしくお願いします」
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