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そして、次の日。
「おばあちゃんも、それだって言ってました! 見つかってよかったです!」
カウンターにやってきたメグさんが、満面の笑顔になる。だが……
「ええ、そうなんですけど、ね……」
俺も店長も、やたらテンションが低かった。
「……どうしたんですか?」メグさんが俺と店長の顔を交互にのぞき込む。
「申し訳ありません」と、店長。「ついさっき、試してみたら……ウチにあったデッキが二つとも壊れてるのが分かりましてね……ここらの中古屋を全部回ってみたんですけど、VHSのデッキはもうジャンク品しかなくて……それも不動品ばっかりでね。個人売買や通販なら入手できますけど、ここまで送ってもらうのに時間がかかってしまいますし……」
「そうなんですか……」一瞬悲しげにうつむくが、メグさんはすぐに俺らに向き直る。「いえ、そこまでしていただかなくて結構です。題名さえ分かれば、何とかなりますから……」
「でも、明日までにおばあさん、見たいんですよね?」と、俺。
「ええ。でも、しょうがないですよね。いずれ家でもVHS のデッキ買いますし、そしたらいつでも見られますから」
「……」
うーん。何とかならないかなぁ……
あ、そうだ。俺は店長を振り返る。
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