1/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ

 そして、次の日。 「おばあちゃんも、それだって言ってました! 見つかってよかったです!」  カウンターにやってきたメグさんが、満面の笑顔になる。だが…… 「ええ、そうなんですけど、ね……」  俺も店長も、やたらテンションが低かった。 「……どうしたんですか?」メグさんが俺と店長の顔を交互にのぞき込む。 「申し訳ありません」と、店長。「ついさっき、試してみたら……ウチにあったデッキが二つとも壊れてるのが分かりましてね……ここらの中古屋を全部回ってみたんですけど、VHSのデッキはもうジャンク品しかなくて……それも不動品ばっかりでね。個人売買や通販なら入手できますけど、ここまで送ってもらうのに時間がかかってしまいますし……」 「そうなんですか……」一瞬悲しげにうつむくが、メグさんはすぐに俺らに向き直る。「いえ、そこまでしていただかなくて結構です。題名さえ分かれば、何とかなりますから……」 「でも、明日までにおばあさん、見たいんですよね?」と、俺。 「ええ。でも、しょうがないですよね。いずれ家でもVHS のデッキ買いますし、そしたらいつでも見られますから」 「……」  うーん。何とかならないかなぁ……  あ、そうだ。俺は店長を振り返る。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!