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と、いうわけで、メグさんのおばあさんの入院前日。俺と店長は、VHSデッキと「めぐり逢えて」のテープを車に乗せて、彼女の家にやってきた。
メグさんのリツイートの威力は絶大だった。あの後、あっという間に VHS デッキ貸し出しの申し出が10件も集まり、デッキの機種や店からの距離、万一の動作不良の可能性も考えて、その中の3名の方にデッキのレンタルをお願いして、3台のデッキを確保してきたのだ。
住宅街にある二階建ての一軒家。玄関でチャイムを鳴らすと、出てきたのは……なんと、一昨日出くわした、メグさんの隣にいたイケメン男だった……
「ああ、五月雨堂さんですね。お待ちしてました」
イケメン男はにこやかに、俺たちを家に招き入れた。
どういうことだ……? メグさんとこいつ、一緒に暮らしてるのか? 実はメグさん、結婚してた……?
「ああ、お兄ちゃん、ごめんね! 支度に手間取っちゃって」
廊下の奥から、パタパタとメグさんがスリッパで駆けてきた。なんだかちょっと化粧しているみたいだ。服装も家で着ている普段着にしてはオシャレっぽい感じがする。
「あ、十夢さん、店長さん、ほんと、来ていただいてありがとうございます!」
メグさんがぺこりと頭を下げる。
「い、いえ、こちらこそ、お待たせしてすみません」
頭を下げながら、俺は心の底から安堵していた。
なんだ……メグさんのお兄さんだったのか……だったら、一緒に歩いていても、全然おかしくはないよな……
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