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店長が居間のテレビにデッキをつなぎ、メグさんがおばあさんを連れてきて、さっそく上映会が始まった。終わったらデッキを回収しなくてはならないので、成り行きで俺と店長も一緒に映画を見ることになった。
……。
いい映画だった。エッフェル塔で二人がようやくめぐり逢うラストシーンで、俺は不覚にも泣いてしまった。見ると、メグさんもおばあさんも涙をこぼしている。
「よかった……これでもう思い残すことはありません……本当に、ありがとうございました」
おばあさんが何度も俺と店長に向かって頭を下げる。
「もう……縁起でもないこと言わないでよ、おばあちゃんたら……」ハンカチで涙をぬぐいながら、メグさん。「でも……ほんと、素敵な映画でした。わたしも……あんな恋がしてみたいです……」
そう言って、なぜか彼女は俺の顔を見つめる。
「そうっすね……ほんとにいい映画でしたね……いてっ!」
隣にいた店長が、肘で俺の横っ腹を小突いた。
「(アホ。何かもっと気の利いた事言えっての)」
なんか、小声が聞こえたような……
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