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玄関の自動ドアが開き、チャイムが鳴る。
「いらっしゃいませ」
反射的に声を上げて玄関を振り返ると、そこにいたのは、落ち着いた服装のおばあさんだった。七十歳くらいだろうか。背はあまり高くない。俺に気付くと、おばあさんは顔をくしゃくしゃにして笑顔を作った。
「すみません……ちょっとお伺いしたいのですが……ここに、モンマルトルの映画はありますかねぇ?」
「モンマルトルの映画、ですか?」
モンマルトルって……フランスの地名だった気がするけど、どこだったかはイマイチわかんないな……
俺はカウンターの店長を振り返る。
「店長、モンマルトルの映画って、知ってます?」
「ああ、『アメリ』、かな」
さすが。映画好きが高じて会社を辞めてレンタルビデオ屋の店長になっただけのことはある。こういうのがすぐ出てくるのは素直にすごいと思う。
「いえ、アメリカじゃなくてモンマルトルなのですが……」と、おばあさん。
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