『親ガチャ』

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寂れた駄菓子屋にあった ガチャガチャを引くと、 小さな親がカプセルの中に入っている。 親は、父親と母親で、 本当の両親の代わりに自分の親になってくれた。 本当の両親はずっと海外に行っているのだ。 ほとんど家を空けていて来年まで帰らない。 そのため、偽物の親だが、自分には十分だった。 ただ、勉強しろと口うるさいので、 ガチャガチャを何度も引き直し、 違う親に変えた。 『ガチャガチャは三回まで』という約束を破り、 四回目を回すと黒いガチャガチャが出てきた。 それは、空っぽのカプセル。 ガチャガチャの中にいつの間にか自分が入っていて、 目の前には、誰かの大きな手が近づいてきて、 その手が、ガチャガチャを回す。 それは自分だ。 ガチャガチャの中の自分は、ガチャガチャのカプセルの山の中に埋もれて、 『助けて』と何度も悲鳴を上げるのだ。 親ガチャだと思っていたが、 ポケットの中にあるカプセルの中に入っていた説明書をよく読むと、 『四回目からは、子ガチャになります』 とちゃんと書いてある。 『人を選ぶなんて間違ってる!』 と叫ぶと、 ガチャガチャの向こうにいる大きな自分が 『おまえだって親を選んだろ?』とせせら笑うのだ。 『何が出るかなあ?』とガチャガチャのレバーを回すもう一人の自分。 『やめてくれ!』とカプセルの中から助けを求めるが、がらがらとたくさんのカプセルの中に埋もれてしまう。
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