(第二章)

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(第二章)

 スタッフが大道具を片付けている中、 恋人役の朋美が声をかけて来た。 「この後、食事に行きませんか?」  湊は笑顔で答え、スタッフの移動車に乗った。  自慢ではないが、湊はこういう事が多い。  共演者の女性に惚れられるなど日常茶飯事。  若手美人女優や有名アイドルなどと浮世を流した事など一度や二度ではない。  その度に週刊誌に取り上げられて、 事務所がもみ消すという流れだった。  この間もトップアイドルとの関係が噂になり、別れたばかりだ。  そして、事務所の社長に連れられてパーティーに出席してお偉いさんの接待をする毎日。  恩にはきている。  有名になりたいという夢も、憧れていた贅沢三昧の生活が出来ているのも、事務所の社長のお陰だ。  しかし最近はそういった人間関係も煩わしくなってきた。  昔、安アパートで気軽に暮らしていた生活が懐かしく思える事がある。  しかし、人間一度でも生活レベルを上げてしまうと、そこから落ちる事が怖くなる。  昔の生活に戻すことは出来ない。  このまま行くしかないと思った。
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