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淑子さんが、玄関ホールの真ん中を走り抜けて、式場の外に出た。
「うそっ!本当に外に行っちゃうのっ?!」
孝明さんから離れて、淑子さんを追うためにダッシュした小竹が、押し殺した悲鳴を上げる。
必死で淑子さんを追いかけていた美加子だが、小竹に抜かれてしまっていた。
「ド、ドレス…。ドレスが…」
小竹は狂ったように小声で呟き続けている。
そうだ、ドレスだ。式場のスタッフとしては、ドレスを破損から救わなければいけない。
しかし、あんなに長くて邪魔になるウエディングドレスを着たまま、淑子さんはどこに行こうとしているのだろうと、美加子が思った時だった。
淑子さんが、路上に立っていた男性の胸に、通行人からの視線をものともせずに飛び込んだ。
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