5.

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「食べるのよ」 「えっ?」 「黒焼きにしてね。そうすれば、綺麗になって素敵な恋人ができると思うの」 「み、美加子ちゃん…?」 「私、恋がしたい」  十和子は思わず顔を赤らめた。しかし、美加子のほうには恥じらう素振りは一切ない。  妹の落ち着いた態度に、十和子の動揺はすぐに治まった。 「美加子ちゃんがそんなことを言うのは何十年ぶりかしらね。でも…」  十和子は、空高く飛んでいるコウモリに目をやりながら、静かに言った。 「恋の妙薬はコウモリじゃなく、イモリの黒焼きよ」  美加子が切なそうに訴えた。 「あのコウモリは特別なの。なんとなく、そう感じるの…」  自分が感じていることを、十和子に理解して欲しいのだ。 「美加子ちゃんが言うなら、きっとそうなんでしょうね」  十和子は優しくうなずいて、そして、夢を見るような目で言った。 「私は河童の胆嚢(たんのう)を手に入れたいと考えてるの」
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