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「河童の胆嚢(たんのう)?」  美加子が怪訝な顔をする。 「それって、熊の胆嚢か、じゃなかったら、河童の妙薬の間違いじゃない?」  十和子はくすりと妹に笑いかけた。 「河童の胆嚢で間違いないわ。河童の胆嚢はね、若返りの秘薬なの」  若返ったら好きな人に会いに行こう。  十和子はそんなことを考えていた。恋をしたいと思っているのは、十和子も同じなのだ。 「若返りの秘薬…」 「そう。意外と近くにあるような気がする」  美加子は黙って十和子の顔を見ていたが、急にはっとしたような顔になった。  そして、目をキラキラさせて言った。 「私も欲しい。コウモリの黒焼きと河童の胆嚢、両方飲んだらすごいことになりそう!」 「まあ、美加子ちゃんたら欲張りねえ」  美加子のいきいきとした顔に、十和子も嬉しくなって笑う。
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