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「お、落ち着いて。慌てるのは良くないよ。慌てないで急げ~、急げ~、い~そ~げ~」
「そ…そうね。急げ~、急げ~、い~そ~ぐ~んだ~」
励まし合いながら身支度を整えた二人は、いつもより少し遅れてバタバタと家を出た。
梅雨の時期の割りには、爽やかに晴れた朝だった。マンションのゴミ集積所のところに生えている桜の葉が青々としている。
側にある犬小屋らしきものの屋根の上に、白い色の何かのぬいぐるみが乗せてあった。
姉妹もそれに気づいていたが、きっと誰かの忘れ物だろうと、さほど気にせずそこを通り過ぎた。
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