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「パートナーの孝明さんをお呼びしていいですか」  淑子さんが小さな声で了承したので、小竹は孝明さんを呼ぶために部屋を出て行った。  その途端、淑子さんは苦悩するように両手で顔を覆った。泣いているのかもしれない。 「ど、どうしたんですか?!」  美加子は少しだけ慌てたが、すぐに冷静になった。  マリッジブルーの花嫁は、たまにいる。 「お疲れのようですね。こちらの椅子で休まれては…」  すると、それまでのろのろとしか動かなかった淑子さんが、いきなり振り返って、美加子に言った。 「ごめんなさい」  そして、重いウエディングドレスを引きずりながら、走って部屋を出ていってしまった。 「えええ?!」  美加子のほうは、今度こそ慌てた。 「ちょっとどこに…、どこに行くんですか~~~」  この部屋は靴を脱いで入るようになっているのだが、後を追おうにも、靴を上手く履くことができない。
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