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【 エピローグ:さよなら、そして…… 】
彼女との楽しかった日々は、あっという間に終わってしまった。
「またね」とは言ってみたものの、結局は、それ以上進展させることはできなかった。
次、会えるのは、いつの日だろう。
今度こそ、彼女へ気持ちを伝えたい。
そう思いながら、自分のアパートのドアを開いた。
鞄を机の上に置き、いつもの万年床に胡坐をかいて座る。
そして、ポケットからスマホを取り出し、あのいつものサイトを開く。
いつの間にか、夢中になっていた、來ちゃんのことと、この月野美来のヌルヌル画像。何気なく、月野美来の過去の作品を覗いてみた。
1年半以上前の作品。その作品の最後に写真が載っていた。
だが、俺はその写真を見て、愕然とした。
「えっ!? う、うそだろ……」
心臓の鼓動が追い付かない。
この作品の最後に載っていた月野美来の写真。
これは、俺がバイトしている写真スタジオに飾ってある1枚と似ている。
というか、そのものだ。着物を着て、目を瞑り、下を向いている写真。
忘れる訳がない。
だって、大好きな人の写真だから……。
「ど、どういうことだ……? これは……」
『ピロン』
すると、月野美来から新しいつぶやきが来た。
そこには……。
『今日、写真スタジオで写真撮ってもらいました♪(*´◡`*)♥』
「はは、どうして気付かなかったんだろうな。確か、月野美来も小さい頃からモデルやってるって書いてあったな……」
そして、今日も俺は小説を書かずに、彼女の作ったヌルヌル画像を見る。
いつもと違うのは、笑いながら泣いていたことだろうか。
~小説を書かなくなった彼女との10日間~
(了)
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