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右手にティーカップ、左手にソーサを持ったお嬢様が近づく俺に抵抗できる術などあるはずもなく。
「うん、とてもお似合いですよお嬢様。」
赤面して少し震えながら、頭上にメイド用のヘッドドレスを付けたお嬢様。心なしか涙目になりかけているのもなんともたまらない。
「ちょっと執事!」
「ほら、お嬢様。ティーカップが震えていますよ、お嬢様は素敵なレディですから、紅茶を溢すようなことはいたしませんよね?」
「執事!!」
「とてもお似合いですよ、お嬢様。さて、かわいらしいメイドさんにどんなご奉仕をしていただきましょうか?」
俺のお仕えするお嬢様は御年17歳になられる立派な淑女。旦那様の晩年にできた一人娘のため甘やかされに甘やかされて育っているので多少我儘気質なのは否めない。とは言え、まだまだ子供のようなからかいがいのある可愛らしいお方で、俺はそのお嬢様の無茶ぶりにどう反撃するかを日々楽しみながらこれからもこの方にお仕えしていこうと思うのだ。
第一話 完
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