レンタルパーカー

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金曜日。 仕事から帰宅すると、玄関の前に段ボールが置かれていた。 これが置き配というやつか、中々便利だな。 …じゃなくて。 ついに 届いてしまったか。 腰をかける間も無く、テーブルに置いた段ボールに手をかける。 変なものだったら…いやでも 恐る恐る中を除く。 "ご注文ありがとうございます"の紙を取り除き、内容物2つを確認する。 黄色のパーカー 1点 赤色のパーカー 1点 ……… 「騙されたあああ!!!」 見ても触ってもひっくり返しても ただのユニ○ロのパーカーじゃねぇか! つうか何だこの安直な色設定は! パチンコが黄色で中華が赤って 幼稚園児でも思いつくわ! あぁ… 俺の、3,500円が… … とりあえず 明日はこれ着てくかぁ… 摘み上げた黄色いパーカーを睨みつつ、ひとまずベッドに投げ捨てる。 「…テレビ見よ。」 それから、2時に飲みつぶれて椅子で眠りに落ちるまで 俺はパーカーの存在を思い出すことはなかった。
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