レンタルパーカー

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"朝の洋服選びに革命起こる! もう服に悩む必要はありません。 レンタルパーカー始まる?!" 「うわ…また変なの出てるよ。」 1Kに雑多に敷かれた布団にあぐらをかき、寝起きの格好そのまま、TVを付けた矢先だった。 最近は何でもサブスク、サブスク、サブスク… 動画然り、音楽然り、車然り。 何なら、洋服も今では様々なブランドが手を出していて、さほど珍しくもない。 ただ… 「パーカーなんて、そんな需要ないだろ…」 パーカー。 あのフードが付いててポケットがあって 物によってはファスナーがあって 誰もが一度は着たことのある あの、パーカーだ。 勿論、あれはあれでいいのだ。 手軽さが売りだし、何よりどこへでも着ていける。 あとは、適当にインナーとパンツを決めれば終わりだ。 カラオケでも飲み会でも何でも着ていける。 …学生までは。 大学1年生までは自分も周りの人も普通に着ていた。 大学2年生になり始めた頃、教室を占めるパーカー人口は、一気に減少の一途を辿った。 イケイケグループから始まったお洒落イズムの波が、たちまちパーカー界隈を飲み込んだのだ。 勿論、今までのパーカーを急に捨てるわけではない。 部屋着として着ることもあれば、数少ない生存者が生き残りをかけ奮闘することもあった。 しかしながら、大学3年生後半から、インターンなどの黒スーツの群れに食い破られ、呆気なくパーカーはクローゼットの奥へと影を潜めてしまった。 あれから5年、今更パーカーを太陽の下へ引っ張り出すこともなく、我現在に至る。 …とまあ軽い冗談はさておき、パーカーのサブスクに需要があるとはとても思えない。 かと言って、何の勝算もなく一企業の上層部がGOサインを出すわけもない。 では一体何故… 逆に興味を持った俺は、レンタルパーカーのサイトを見てみることにした。
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