レンタルdeフルムーン

その帰り道。
「ねえ、どうせやったら旅行もしたいわ～」　
「そうやなぁ……今までどこにも連れてったったことなかったな」
「金は掛けられへんから、なるべく何でもレンタルですませて」
「ああ、市がやってるキャンプ場って、けっこう設備も整っててやすいとこあるで」
「レンタルコテージとか？」
「コテージかりるより、キャンピングカーをレンタルで借りようや」
「えー、この車でええやんか？」
「いやいや、キャンピングカーやったら、毛布持って行くぐらいですむけど、テントやら寝具やら、あれこれ借りてたら、かえって高くつくで」
「そうなんや」
「四駆のやつで座席フラットにできるやつ。あれ、二人分の寝床になるねん。あれは借り賃も安いし、キャンプ場もコテージやのうてもスペースだけ借りたらええんやし」
「そうかー、ほんならそうしよ！」
「よっしゃ！決まり！」
「わー、フルムーン旅行や！嬉しいなー！」
そこで急に息子たちのことを思い出したらしい。
「あ、子ども等はどないしよ」
「そんなんほっといたらええわ。もう大きなっとんやで」
「そやな」
その一言で留守中の悩みは消え去ったようだ。

こうして二人のレンタルずくめのフルムーン旅行は決まったのだった。