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さて、記念撮影も無事に終わり、いつものトレーナーとジーンズに着替え、いよいよフルムーン旅行に出発だ!
途中、普段見慣れたような花を見ても、普通に川が流れているだけの景色をみても、亜美ははしゃぐはしゃぐ。
ちょっと小高い展望台に止めたら、その景色にも亜美は感激した。
「わー綺麗!」「わー、ステキ!」の連発。
その素敵な展望台で、昼飯を食った。
亜美が握ってくれたオニギリ。
オニギリを食いながら英二は思った。
うまい。
懐かしいなー。四畳半のアパートにいた時と変わらん味や。
あのとき亜美がオニギリ差し入れてくれんかったら、今、俺はおらんかったかも知らん。
あれから何年たったんか。15年ぐらいか?その間、勝手なことばっかりして、何もしてやらんかった。ホンマようついてきてくれたなあ。
オニギリを咀嚼しながら英二はボソリと言った。
「悪かったなぁ、これまで何もしてやらんで」
「何言うてんの。楽しく一緒に暮らしてきたやんか。元気な子ども等に恵まれて」
空を見上げて、また景色を見晴らして、深呼吸もして、
「それに今こないして旅行もでけて、こんな嬉しいことないわ!夢みたいや。私、つくずくシアワセやわ~!」子どもみたいな顔で笑って言う。
「頑張ってアンタのそばにおって良かったわ!」と弾けるような笑顔。
こいつ何歳になっても可愛いなあと英二は思った。
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