3人が本棚に入れています
本棚に追加
黒歴史Ⅰ 存在そのものが迷惑?事件。 20220612
西の茶店
私には30代前半、13年付き合っている彼氏がいた。
私は恋愛をすると長い。
それは、嫌いになるまで好きだからだ。
そしてその彼氏もまた、嫌いになるまで、13年かかった。
13年中、7年無職で私に寄生虫していた。
それだけならまだしも、パチスロに依存し、勝手にカード会社に出入りしては何社も契約して借金まみれだった。
私の給料は彼氏のカードローンの返済に消え、一か月の食費が数千円しかない月もあった。
暑い暑い真夏にバイク通勤で帰宅すると、ガンガンに冷房の効いた部屋で、彼氏がコカ・コーラと週刊少年ジャンプを手にTVを見てゲラゲラと笑っているところだった。
ぶわっと体中から殺意が沸いた。
気が付けば、ジャンプで彼氏を殴っていた。
「おまえは誰の金でこんな生活が出来とんねん!!」
バシッ、バシッとジャンプで彼氏を殴りながら、「どこにこんなもん買う金があるねん!!その金何処から取ったんや!!」と問い詰めた。
「財布の中から・・・」
悪びれることもなく、今週の残金千円を、コカ・コーラとジャンプに使ったクソバカは、私の拳を左頬に受けることになった。
「この財布にある金は、食費って言ってんのがわからんのか、このボケが!!コカ・コーラとジャンプで一週間食えるんか!!」
完全にブチ切れてる私に向かって、彼氏はなんと口頭で反撃してきた。
「そんなにキレんでもええやろ!ホンマに鬼で悪魔で鬼畜で人の心もわからへんロボットやな!いつか誰かに殺されるから、俺が殺したるわ!ベランダから投げ落としたる!!」
この部屋は11階建てマンションの10階。捕まったら、死ぬかもしれない。
「はーあーあーあー!?誰が鬼で悪魔で鬼畜で人の心もわかれへんロボットじゃあああ!!!その私に7年も養ってもらっといて、言うことはそれだけかあああ!!!」
手だけではおさまりきらず、私はローキックを何度もお見舞いした。
「借金で火だるまのくせにでかい口叩くなクズが!!今すぐ使い込んだ分借用書書いて出ていけ!おまえなんか仕事もせんと借金ばっかこさえやがって!おるだけで迷惑なんじゃ!!」
私の怒りはまさしく「逆鱗」だ。
嫌いになるまで好きだということは、嫌いになった瞬間、何もかも終わる。
暴力を振るわれたことはない。最後の最後に暴れたのは私だ。
付き合って13年。その13年が一瞬で黒歴史になった。
そして彼に使い込まれた数百万円の借金は返ってこなかった。
ほんと、存在そのものが迷惑。
私の中に芽生えた、真夏の、殺意。
了
最初のコメントを投稿しよう!