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靴を脱いで、居間へと上がってきた修治が答えた。
「食べるわけないだろ。それに、せっかくの休みだが、子供の面倒を見るっていうのは、なかなか大変なんだぞ。」
「分かってるわよ。私は保育園以外、いつも千恵と一緒にいるんだから。」
その後、修治と千恵がちゃぶ台の前へと座る。
叶恵は二人の昼食を、ちゃぶ台へと運んだ後、千恵の横に座った。
「千恵。今日は何したの? 疲れたでしょ。」
千恵は、プラスチック製の小さな食器を抱えて答える。
「今日はね、銀太も一緒に遊んだよ。」
「あ、そうなの〜。銀太くんも、来たんだね。」
あとは頷きながら、食事をする千恵。
修治が割り込むように、付け加えた。
「千恵と一緒に、公園に行ったもんな。」
それを聞いて、叶恵は千恵へと尋ねるように問う。
「へえ、そうなの。千恵、お父さんに公園連れていってもらったの。」
やはり、頷く千恵。
今度は、叶恵が修治に聞いた。
「次は、いつ休み取れるの? また、こうして千恵を遊びに連れていってくれたら助かるわ。来週?」
「もう、休みは、なかなか取れないよ。今回は特別だったんだ。また、仕事に取り掛からないとな。」
昼食をしながら、修治が答える。
「はあ〜。もう、こんな休みはなかなか、ないのか〜。」
残念そうに気を落とす叶恵。
その日の夜。
時計は、20時になろうとしていた。
久しぶりに家族4人揃って、先程夕食を済ませたところである。
居間のちゃぶ台で一人、上下グレーのジャージを着てビールを飲んでいる修治。
「あ、ヤバイ!」
トイレから出てきた貴志が、突然驚嘆な声をあげた。
「何が、ヤバイんだ?」
ビールを飲みながら、修治が尋ねる。
「今日の宿題、まだやってなかった。」
慌てた様子で貴志がそう言い残すと、そのまま2階にある自分の部屋へと駆け上がっていく。
「けっ、相変わらずだな。」
スルメをかじりながら修治が呟いた。
そしてその後、ガタッと浴室のドアが開く音がすると、
「千恵が上がるから、拭いて服着せてあげて!」
と叶恵が声を張り上げる。
修治は持っていたコップをちゃぶ台の上に置いて、返事をした。
「おう。今行く。」
その様子は決して機敏ではなく、動作緩慢な大型動物そのものである。
浴室まで迎えに行った修治は、千恵の体をバスタオルで包み込んだ。
思い出してみると、前回こうして風呂から上がった千恵の体を拭いたのは、2〜3ヶ月程前である。
「体拭いたら、居間の所の台に、チューブの軟膏が置いてあるから、それも体に塗ってあげて!」
浴室の中から、叶恵の声が響き渡った。
修治は返事も返さず、慣れない手つきで千恵の濡れた体を拭き取り、居間の方へと連れて行く。
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