#7―代理人/alternateー

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さらに転がりながら、T.A.Rレンズが順次捕捉する敵影めがけて撃った。 ビームは的をはずさなかった。 うめき声がして、そのあとに人が倒れる際のどさっという重たい音と真鍮製の物体が床を転がる冷たい金属音が続いた。 そろそろ終わりが近い。 わたしは伏せ撃ち姿勢(プローン・ポジション)から立ち上がるや、身を翻し、大急ぎで部屋を出た。 廊下に身を投げだした際、銃のストラップについていたミニキャップ破片手榴弾の安全ピンを抜き、部屋に投げ込んでから扉を閉める。 ドン!と耳を聾する炸裂音がし、まず、蝶番が吹っ飛んだ。 爆風とともに、扉そのものがフロアの壁に叩きつけられ、続いて漏れてきた煙が廊下に渦巻く。 ────静寂。 おそらくグレネードの爆破によって、小規模火災(ボ ヤ)が発生したのだろう。 真紅の炎が踊るように揺れ、シューという音とともに黒煙がらせん状に立ち上り始めている。 煙で濛々としている室内に目を凝らした。 黒煙と炎の向こうに何か蠢くものがある。 くそ。くたばり損ないが──── ブラストガンを構えたまま、ゆっくりと再び足を踏み入れた。
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