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「お疲れ、桜ちゃん」
「社長!」
立ち上がろうとする樫本を代田はいいからいいからと言って押しとどめると、樫本の向かいに腰かけ、缶コーヒーを差し出してきた。
「甘いので大丈夫かな?」
「いいんですか?」
「遠慮しないで。福利厚生だと思って」
「ありがとうございます。では、いただきます。ちょうど甘いものが欲しかったんで」
割に合わない福利厚生だと思いながら代田から缶コーヒーを受け取り、代田が自身の分を開けたのを見て、樫本もフタを取った。
ほんのり甘い匂いが漂い、鼻を満たした。
「しょっぱなから謝罪代行に当たるなんて運が悪いねえ。でもすごいじゃないか、完璧な土下座だったぞ」
「はあ……、ありがとうございます」
土下座の出来を認められてもあまり嬉しくはない。というか、そんなことで褒められる人なんて中々いないだろう。
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