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「うちはどんな人材でも調達してレンタルするのが売りなんだ」
「何でも屋とは何が違うんですか?」
「何でもする、っていう点では何でも屋と同じだな。ただ何でも屋は自分で何でもするから頭数をそろえられない。その点ウチは大人数のレンタルにも対応してるのさ」
そのとき、得意げに語る代田の口ぶりを遮るように、電話の呼び出し音が聞こえてきた。
音は事務室から聞こえてくるようだ。何コールか鳴り続けているが、誰も取る様子がない。
「そうだ、今日はみんな現場に出払ってるんだった」
「私、出ますよ」
「いいって。桜ちゃんはまだ休んでて」
立ち上がろうとする樫本をまたも制止すると、はいはいもう少々お待ちくださいよと楽し気に独り言を言いながら、代田は休憩室を出て行った。
「電話番も駆り出されるって、ほんとに人手不足なんだ……」
後に残された樫本は、ろくに面接もせず即採用されたことを思い出した。求人案内には事業拡大中と書かれていたような気がする。この会社も猫の手でも借りたいところだろう。
ウチの劇団もひと悶着の末に何人か辞めちゃったけど、劇団員も〝レンタル〟しようかな。
ガラガラの劇場も観客を〝レンタル〟すれば埋められる……あ、お金かかるからどのみち赤字か。そもそも、そんなのに頼らなくたっていつか自力で満員にしてみせる。
そんなことを考えながらコーヒーをすすっていると、代田が満面の笑みをたたえて戻ってきた。
「桜ちゃん、次の仕事だ!」
「は、はいッ。次は何ですか?」
代田は不敵に笑うと、ひと呼吸置いて答えた。
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