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「観客のレンタル。劇場を埋めるぞ、大口の注文だ!何」
うわ、本当にそんな注文あるんだ。今さっき自分も同じようなことを考えていただけに、樫本は複雑な思いだった。
とはいえ、仕事が入るのはありがたい。劇団の公演と被らなければいいけど、と手帳を開きながら日程を訊ねた。
「いつですか?場所は?」
「ああ、6月12日の日曜」
樫本は言われた日程を確認して、目を見開いた。
「あの、社長」
「桜ちゃんも来られそうかい?」
「……被ってます」
「被ってる?」
「はい。その日、結婚式の出席者のレンタルが入ってます。……私も出勤します」
代田の表情が一瞬ぽかんとして、やがて驚愕の表情に切り替わった。
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