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「で、今度はあなたの旅行についていこうと思って、ここに来たの。住所はレンタカー屋の受付のときに見てたから。通りすがりの人伝いにぴょんぴょんってね」  さも当然のように言うルイに、理解の追いつかない私は目をぱちくりさせるしかできない。ただ、飛び石を伝って川を渡るように、通行人を飛んでいるのを想像すると、少しおかしかった。  人伝いに移動できるのなら、どうして自分を轢いた事故車に潜んでいたんだろうとも疑問に思ったが、幽霊なんてそんなものなのか。と無理やり納得した。 「え? 付いて来るつもりなの?」 「ええ」  やはり、さも当然のようにルイは答えた。 「……もし、断ったら?」  なんとなく答えは予想できているが、私は尋ねる。 「運転中にブレーキが効かなくなったらどうなると思う? ハンドルが急にあらぬ方向に傾いたら、どうなると思う? 急にドアが開かないとも限らないわね」  ルイはいたずらににやけながら答えた。  私は苦笑する。やっぱり、拒否権はないらしい。  諦めつつも、ルイといるのも悪くなさそう。とどこか楽しみになっている私もいる。あの黒いドロドロは怖かったけど、ルイと過ごすのが楽しかったのもまた事実。  当面の問題は、友達二人にどうやって説明しようかってことか。    ルイをちらりと見ると、うふふと嬉しそうに笑った。  まあ、どうにかなるかな。 「まさか、車を返しても居座るつもり?」 「ええ。レンタカーを借りたのに、返さなくて良いものがついてくるなんて、お得でしょ。ラッキーよ」  それも悪くない、の、かな。
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