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「一緒にいれさえすればいいとも思った。だけど、生活していくうちに気付いたんだ。ここに留めていることが、俺の自己満足にしか過ぎないって」
僕は黙ったまま、叔父さんの言葉を聞いていた。それはまるで懺悔のようで、同時に僕の考えの浅はかさを気付かされた。
「一緒に食事したくたって、彼女は食べることが出来ない。俺が食べているのを前に、ただ笑顔でいるしかないんだ」
それがどれほど苦しいことなのか。生前の記憶がある僕からしたら、辛いことであることは想像に難くない。
「だから俺は、恭香と離れる決心をしたんだ。彼女もそれに同意してくれた。来世でまた会おうって約束してね」
「叔父さん、駄目だからね」
不安から、僕は口走っていた。後を追うんじゃないかという不安が過ったからだ。
「分かってる。そんなことはしないよ。恭香に怒られる」
きっと叔母さんのことだから、それを見越して叔父さんの考えを咎めたのかもしれない。落ち込む叔父さんの前に現れたぐらいなのだから。
「俺は二度も恭香を失った。だから、同じ思いはしたくないんだ」
それから叔父さんは「ごめんな」と頭を下げた。
「ありがとう……俺はもう大丈夫だから」
目に溜まっていた涙を流しながら、叔父さんが言った。
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