カスタムドールクローゼット

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 リョウと名乗った少年は、裸の〝ルヴィ〟を無造作にテーブルの上に寝かせた。  客もまばらな夜のファミレス、煌々とまぶしい照明を浴びて〝ルヴィ〟の肌はぺかぺかと反射している。 球体関節の可動式ボディ、ハニーブロンドカラーのストレートヘアに、やや垂れ目ぎみのブルーのアイプリント。 「姉そっくりにしてほしいんです」  リョウは〝ルヴィ〟の横に一枚の写真を並べた。私はそれを手にとり眺める。  黒いボブヘアに深紅のリップの少女だ。すずしげな目元といい、すっと通った鼻筋といい、目の前の少年とよく似ている。 写真と彼を交互に見る私に、彼は「双子なんです」と少し顔を背けた。不躾だったろうか。自分の行動を反省しつつ、私は口を開く。 「この〝ルヴィ〟は、すずちゃんの?」  彼は数秒のあいだ黙りこんだ。逸らされた目がどこか遠くを見ている。やがてひとつ瞬きをしてから彼は答えた。 「姉は。すずは死にました」
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