11人が本棚に入れています
本棚に追加
リョウと名乗った少年は、裸の〝ルヴィ〟を無造作にテーブルの上に寝かせた。
客もまばらな夜のファミレス、煌々とまぶしい照明を浴びて〝ルヴィ〟の肌はぺかぺかと反射している。
球体関節の可動式ボディ、ハニーブロンドカラーのストレートヘアに、やや垂れ目ぎみのブルーのアイプリント。
「姉そっくりにしてほしいんです」
リョウは〝ルヴィ〟の横に一枚の写真を並べた。私はそれを手にとり眺める。
黒いボブヘアに深紅のリップの少女だ。すずしげな目元といい、すっと通った鼻筋といい、目の前の少年とよく似ている。
写真と彼を交互に見る私に、彼は「双子なんです」と少し顔を背けた。不躾だったろうか。自分の行動を反省しつつ、私は口を開く。
「この〝ルヴィ〟は、すずちゃんの?」
彼は数秒のあいだ黙りこんだ。逸らされた目がどこか遠くを見ている。やがてひとつ瞬きをしてから彼は答えた。
「姉は。すずは死にました」
最初のコメントを投稿しよう!