カスタムドールクローゼット

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 すずちゃんと私はSNS上で知り合った。  共通の趣味がきっかけで一年ほど前に繋がり、すずちゃん・ケイさんと呼び合って、プライベートな話もするまでの仲になっていた。  三ヶ月ほど前から連絡がつかず心配していたのだが、二週間前、久しぶりにメッセージが届いた。急いでアイコンをタップした私の目に飛びこんできたのは、短い文章だった。  すずの弟です。突然すみません。姉と親しかったあなたに、どうしてもお願いしたいことがあり、DMしました。  そうして数回のやりとりを経て、今日初めて顔を合わせたのがリョウだ。秋も深まっているというのにアウターを羽織らず、寒々しい色合いの長袖のシャツだけで彼は現れた。 「ケイさんは〝ルヴィ〟のカスタムをやってらっしゃるんですよね」  運ばれてきた飲み物にも手をつけず、やや泳ぐ目で私を見ながら、彼は言う。 「姉がよく言ってました。ケイさんのカスタムは丁寧で、センスも抜群だって」 「……褒めたって無駄だよ。DMでもお返事した通り。カスタムを依頼されることは時々あるけど、受けないことにしてるんです。あくまで自分で楽しむための趣味だから」  先手を打った私の言葉に、彼の瞳が揺れる。 「でも、衣装の販売はしてるんですよね?」 「衣装は私が型紙から起こしたオリジナルだからね。でもカスタムは、既存のドールに手を加えているだけ。それでお金をとるなんてこと、私はできない」  きっぱりと告げると、リョウは今度こそ唇を一文字に引き結んだ。私は冷静に彼を見つめ返す。
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