命日

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命日

『お姉ちゃん私。英美里(えみり)だけど』 「何?」 『あの、命日もうじきだから』 「あのね、私は働いてるの。優雅な女子大生と違って簡単に休めないんだわ」 『でも、三年めでしょう?』 「とにかく無理だから」 『待って、切らないで』 「休憩終わっちゃうんだけど」 『お願い帰ってきて。一時間でもいいから家に寄ってよ。パパもママもずっと待ってる。私も会いたい。ちゃんと会って話したいの』 ほんとに終わるんだってば。考えも無しにかけてきて。 「わかった。帰る」 『本当!? じゃあ、じゃああのね? お母さんに言って お姉ちゃんの大好きな』 携帯を切った私は急いで階段を駆け降りた。
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