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家路
ホームに出た途端、暗い空から大量の雨が降ってくる。
「しゅっぱーつ進行ー!」
去って行く電車に罪はないが、置き去りにされたような気分になった。
「ああ骨が」
強風に曲がってしまった傘と、雨を吸い始めてずっしりと重たくなったバッグを抱えてひたすら歩く。
なんだ、天気からも歓迎されてないじゃない。
視界に張り付く髪をまとめて拭い、道半ばまで来たその時、
私はどうしても立ち止まらなければならなくなった。
目の前に建っている綺麗な別荘。
そこのガレージが開いている。
シャッターが半分ほど持ち上がっているのだ。
昔から人の手が入っている感じはあったものの、なぜか誰もここの持ち主を知らない。
私は今からこの前を通る。
中から全く光が漏れてないのはどうしてなんだろう。
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