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等間隔に並べられた背の高い棚をすり抜け、操作機の前に立つ。
デジタル画面に映されていたのは『冷房 29度』の文字。
「あれ、冷房だ。29度ってこんなに暑かったっけ?」
不思議に思いながらも、出るときに戻せば良いか…と25度に下げ、風量を強風にしてやった。
エアコンの風が直接当たる位置に立つと、機械特有のキンキンに冷えた風が頬を強く撫でた。
「うわあ〜気持ち良いなあ〜。ハッ…これってバレたら誰かに怒られるやつかな…」
謎の背徳感を感じたのも束の間、見つかったら怒られてしまうかもと我に返ったが、汗が滲んだ額に当たる冷風があまりにも気持ちよくて目を閉じる。
その瞬間、地面が急にぐにゃりと形を無くしたように揺らぎ、突如として立っていることが出来なくなった。
その事を認識した時には、私の視界は広い床と高く聳える棚で支配されていた。
その景色を最後に、視界はどんどんとどこかへ吸い込まれていき、グラッという頭が揺れた様な感覚に襲われて意識が途絶えた。
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