1 Rinko side

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「はぁ〜?!それで結局なぁなぁになって別れられなかったわけ?!」 眉間に強く皺を寄せて憤慨しているのは、同じ会社の同じ部署で働く同期の沙紀(サキ)。 「ちょっ、ちょっと沙紀…!声が大きいってば…」 お昼休憩、社内食堂で沙紀とお昼ご飯を食べながら数日前にあった弘也の浮気問題を相談していると、沙紀が怒り心頭に発した。 「声が大きいか小さいかは問題じゃないのよ!3回も浮気しておきながら凛子が断るのが苦手な性格を逆手に取って縋ってくるその男が問題なのよ!」 「それはそうなんだけど…」 「同棲し始めて1年くらいだっけ?そもそも2人で住んでる家だって元々凛子の家じゃない!家賃も光熱費も食費もろくに出さない上に3回も浮気してのよ??職はあれどヒモよヒモ!!ていうか私営業部まで乗り込んでいい?!」 そう、弘也とは同じ会社で沙紀とも同期。 営業部と総務部、別部署で関わりは無いものの、入社式で一緒になったこともあり弘也の存在は沙紀も知っていた。 前回や前々回の浮気の事も沙紀には話していた。 初めて浮気が発覚した時はあまりにもショックを受けて三日三晩泣き続け、その間ずっと傍にいてくれた。 前回の浮気が発覚した時も今回の様に大激怒だったけど、信頼を取り戻す為に同棲をするとかなんとか言いくるめられてしまってそのままの流れで同棲を始めた。 同棲を始めたものの、どうしても浮気した弘也の事が信用出来ずにどう言って別れを切り出せばいいのか相談していた矢先の浮気発覚だった。 「別れられなかったのは事実なんだけど、別れないとも言ってないの。同じ空間に居るのもキツかったから、外に出てくるって言ってそのままネットカフェとかビジネスホテルで3日くらい泊まってる…」 「はぁ…普通外に出て行くべきなのは凛子じゃなくて齋藤の方でしょ。今回ばかりは別れないなんて選択肢ないからね?これで別れないなんて言い出したら私本当に知らないよ!」 「うん…」 そうだよね。 そりゃそうだよ。 自分の事を客観的に見て、3回も浮気されているのに別れないなんて都合のいい女でしかない。 最初の内は反省した素振りで、家にお金も入れてくれていたのに今となっては付き合いで始めたゴルフやゲームにお金を注ぎ込み、生活費はおろか日々の昼食代まで強請って来るようになった。 沙紀の言う通り、ただのヒモと何ら変わりない。 私はヒモを養うような余裕もないし… ましてや浮気を重ねる男にこれ以上時間を割く必要もないはずだよね? 「今日改めて話しようと思う…。」 「絶対別れてきなさいよね!そんないい加減な男の為に凛子が嫌な思いする必要ないよ!」 真剣に怒ってくれる沙紀に、本当に申し訳ない。 ここでまた別れられなかったらズルズル続いてしまう。 「うん…今日の夜話したいって送る!」 私は意を決して弘也にメッセージを送った。
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