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家計も回し、家事も完璧にやっていたつもりだった。
感謝はされどあんな風に罵声を浴びせられる事になるなんて…
私、きっとそういう星の下に生まれてきたんだわ。
思い返してみれば今までの元彼にも浮気をされたり、他に女が出来て突然音信不通になったり…
これがダメンズホイホイってやつかしら…
暫く恋愛はお休みしよう。
どうせもう良い人は皆お相手がいるし、私はどこかで人生の標準的なレールからはみ出してしまったんだろう。
〜♪
そんなことを考えながら歩いていると、携帯からメッセージの通知音が鳴った。
“久しぶり〜!私事ではありますが、この度結婚する事になりました!結婚式の招待状を送りたいので住所教えて欲しいな!”
大学時代、同じサークルだった同級生の亜由美ちゃんからだった。
どうやら元サークル仲間達を集めてグループを作った様で、次から次へとお祝いコメントと各々の住所が書かれたメッセージが送信されていく。
亜由美ちゃんは当時、アイドルみたいな容姿に加え、どんな飲み会でも参加するフットワークの軽さで男子からの絶大な人気を誇っていた。
正直、あまり仲が良かったわけでもないのに何故このグループメッセージに入れられたのかが不明だったし、同級生の結婚報告に少し心が抉られたけど、十数人がいるグループでこの流れに乗らなければ…という焦燥感に駆られた。
“亜由美ちゃん、結婚おめでとう。招待状はこちらの住所にお願いします。東京都…”
あまり気が進まなかったけど、ひとまず返信。
なんせたった今、年1浮気イベントを開催する彼氏と別れたばかり。
そんな人間が人様の結婚を祝ってもいいのだろうか…と。
なんだかなぁ、と小さくため息をつく。
再び駅へ向かう足を動かそうとしたその時だった。
なんの前触れもなく、バケツをひっくり返したような激しい雨が。
「嘘でしょ…」
思わず口をついて出てしまった。
今日は雨が降るだなんて言ってなかったのに…。
まだ4月、春の寒空。
こんなについてない日が他にあるだろうか。
弘也に水を引っかけられた跡が、この激しい雨によって掻き消されていくのを感じて、濡れてるのは私だけじゃなくなるかもと逆にラッキーだと思い込む様にした。
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