1 Rinko side

5/9

369人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
家計も回し、家事も完璧にやっていたつもりだった。 感謝はされどあんな風に罵声を浴びせられる事になるなんて… 私、きっとそういう星の下に生まれてきたんだわ。 思い返してみれば今までの元彼にも浮気をされたり、他に女が出来て突然音信不通になったり… これがダメンズホイホイってやつかしら… 暫く恋愛はお休みしよう。 どうせもう良い人は皆お相手がいるし、私はどこかで人生の標準的なレールからはみ出してしまったんだろう。 〜♪ そんなことを考えながら歩いていると、携帯からメッセージの通知音が鳴った。 “久しぶり〜!私事ではありますが、この度結婚する事になりました!結婚式の招待状を送りたいので住所教えて欲しいな!” 大学時代、同じサークルだった同級生の亜由美ちゃんからだった。 どうやら元サークル仲間達を集めてグループを作った様で、次から次へとお祝いコメントと各々の住所が書かれたメッセージが送信されていく。 亜由美ちゃんは当時、アイドルみたいな容姿に加え、どんな飲み会でも参加するフットワークの軽さで男子からの絶大な人気を誇っていた。 正直、あまり仲が良かったわけでもないのに何故このグループメッセージに入れられたのかが不明だったし、同級生の結婚報告に少し心が抉られたけど、十数人がいるグループでこの流れに乗らなければ…という焦燥感に駆られた。 “亜由美ちゃん、結婚おめでとう。招待状はこちらの住所にお願いします。東京都…” あまり気が進まなかったけど、ひとまず返信。 なんせたった今、年1浮気イベントを開催する彼氏と別れたばかり。 そんな人間が人様の結婚を祝ってもいいのだろうか…と。 なんだかなぁ、と小さくため息をつく。 再び駅へ向かう足を動かそうとしたその時だった。 なんの前触れもなく、バケツをひっくり返したような激しい雨が。 「嘘でしょ…」 思わず口をついて出てしまった。 今日は雨が降るだなんて言ってなかったのに…。 まだ4月、春の寒空。 こんなについてない日が他にあるだろうか。 弘也に水を引っかけられた跡が、この激しい雨によって掻き消されていくのを感じて、濡れてるのは私だけじゃなくなるかもと逆にラッキーだと思い込む様にした。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

369人が本棚に入れています
本棚に追加