8 Syun side

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電話を終えてリビングに戻ると、ソファーに座りながらコーヒーを飲んでいる凛子。 後ろから抱きつくと、少し驚いた顔を見せた。 「しゅ、春さん…お電話はもう終わったんですか?」 「うん、終わったよ。そうだ、凛子に仕事の事で相談したい事あるんだけど…」 「相談、ですか?仕事に関しては総務部の事しか分からないのですが…」 「総務部所属なのは変わりないんだけど、課を異動してくれないかなと」 俺は凛子から離れると、隣に腰を下ろした。 本当にこれはたった今思い付いた話で、それこそ職権乱用と言われそうだが… 「課の異動ですか?一応総務課として配属されていますけど、基本的にどの課の業務も一通り出来ますので問題はないと思います」 「それはすごいな…」 「総務部全体の新人教育も経験がありますし、情報処理やIT系の民間資格は大体持っているので事務仕事なら何でも来いです!」 相当優秀だと思ってはいたけど、ここまでしっかりしているとは。 全部署を経験して分かった事だが、総務部なしではどの部署も務まらない。 上に立つ人間としては、こんな優秀な人材が会社にいてくれて本当に良かったと思う。 「それじゃあ…俺の秘書として秘書課に異動してくれたりしない?」 「…えっ?!秘書課ですか?!」 「完全に俺得でしかないけど、本当に最近スケジュール管理に限界感じてきて秘書をつけようって、平尾っていう専属の運転手とも話してた所なんだ」 凛子が俺の秘書として一緒に仕事をしてくれたら、常に目の届く所にいて危ない目に合わせることも無いのでは…と考えた。 決して人事権を乱用して一緒にいようとしている訳では無い。 …いや、ちょっとはあるかもしれないが。 「秘書課は総務部の聖域ですよ…?皆さんシュッ!っとしてて、スマートかっこいい集団と名高い…」 「秘書課ってそんな異名持ってるの?」 真剣な顔で話す凛子に、思わず笑みが零れる。 「春さん、笑い事じゃないですよ!…というか、今いる秘書課の方にはお願いしないんですか?」 「ん〜、陽と他の役員には秘書が付いてるけど、俺はずっと全部一人でやってたから急に俺が秘書をつけてくれって言っても単純に人が足りないと思うんだよね」 「だとしても何故私を…?」 「シンプルに凛子さん、キャリアウーマンすぎるからお願いしようかなって」 まぁこの規模の会社において人が足りないなんて事はないんだが…嘘も方便と都合良く言っておこう。
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