365人が本棚に入れています
本棚に追加
「う〜ん……分かりました。ただ、条件があります!」
凛子は暫く悩んだ後に口を開いた。
「条件…?」
「はい、異動は引き継ぎが完了次第すぐでも構いません。ですが、春さんの秘書として実働するのは最低でも3ヶ月は待ってくれませんか?」
「3ヶ月?」
「はい。1ヶ月は秘書課の業務と秘書としての業務を学びます。残りの2ヶ月で資格試験を受ける為の勉強をしたいと思います」
そうだ、俺はこういう仕事に対して、真摯に向き合って頑張る所も好きなんだった。
こんな期待以上の答えが来るとも思っておらず、俺は嬉しさで飛び上がりそうになるのを必死に堪える。
「3ヶ月あれば、次の2月にある試験を受けれるはずなので…ダメでしょうか?」
「ダメな訳ないでしょ?凛子のそういう所も俺、すごい好き」
「やっぱり…やるからにはちゃんと春さんの役に立ちたいんです。その為の術と根拠が欲しくて、勉強したいなって」
どうやら俺は、とても可愛くて仕事が出来る秘書さんを迎える事になりそうだ。
3ヶ月後が今から楽しみだな。
「凛子の言った事を尊重する。人事部にも実働は3ヶ月後と伝える。こんな突然な話、引き受けてくれてありがとう」
「私こそ、勉強の機会を頂いてありがとうございます。本当はちょっとだけ秘書課に憧れてたんです…」
照れた様に笑う凛子。
どんな表情でも永遠に見ていられる。
3ヶ月後には、凛子は俺の秘書。
仕事中も一緒に居られるって…ちゃんと仕事できるだろうか?
今から楽しみでついつい口角が上がってしまう。
ソファーに座る凛子の膝の上に頭を乗せて寝転ぶ。
ふわりと香る彼女の匂いが俺めがけて降ってきて、それだけで胸が高鳴った。
細くて長い髪に指を通すと、サラサラと流れるように通り抜けていく。
それを真似るように、俺の髪に触れると凛子が触れた。
何も話さずに過ごすこの時間が心地良くて、永遠に続けば良いのに…
そう願わずにいられない。
願ってもみなかった幸せな時間。
彼女に降りかかる問題は全部俺が取っ払ってあげたい。
誰にも、何にも傷付けることは絶対にさせない。
望むことを全て俺が叶えてあげたい。
綺麗な顔で笑う彼女を、俺の一生をかけてでも守り続けたい。
愛してる。
そんな気持ちを込めて、凛子にキスをした。
最初のコメントを投稿しよう!