8 Syun side

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「う〜ん……分かりました。ただ、条件があります!」 凛子は暫く悩んだ後に口を開いた。 「条件…?」 「はい、異動は引き継ぎが完了次第すぐでも構いません。ですが、春さんの秘書として実働するのは最低でも3ヶ月は待ってくれませんか?」 「3ヶ月?」 「はい。1ヶ月は秘書課の業務と秘書としての業務を学びます。残りの2ヶ月で資格試験を受ける為の勉強をしたいと思います」 そうだ、俺はこういう仕事に対して、真摯に向き合って頑張る所も好きなんだった。 こんな期待以上の答えが来るとも思っておらず、俺は嬉しさで飛び上がりそうになるのを必死に堪える。 「3ヶ月あれば、次の2月にある試験を受けれるはずなので…ダメでしょうか?」 「ダメな訳ないでしょ?凛子のそういう所も俺、すごい好き」 「やっぱり…やるからにはちゃんと春さんの役に立ちたいんです。その為の術と根拠が欲しくて、勉強したいなって」 どうやら俺は、とても可愛くて仕事が出来る秘書さんを迎える事になりそうだ。 3ヶ月後が今から楽しみだな。 「凛子の言った事を尊重する。人事部にも実働は3ヶ月後と伝える。こんな突然な話、引き受けてくれてありがとう」 「私こそ、勉強の機会を頂いてありがとうございます。本当はちょっとだけ秘書課に憧れてたんです…」 照れた様に笑う凛子。 どんな表情でも永遠に見ていられる。 3ヶ月後には、凛子は俺の秘書。 仕事中も一緒に居られるって…ちゃんと仕事できるだろうか? 今から楽しみでついつい口角が上がってしまう。 ソファーに座る凛子の膝の上に頭を乗せて寝転ぶ。 ふわりと香る彼女の匂いが俺めがけて降ってきて、それだけで胸が高鳴った。 細くて長い髪に指を通すと、サラサラと流れるように通り抜けていく。 それを真似るように、俺の髪に触れると凛子が触れた。 何も話さずに過ごすこの時間が心地良くて、永遠に続けば良いのに… そう願わずにいられない。 願ってもみなかった幸せな時間。 彼女に降りかかる問題は全部俺が取っ払ってあげたい。 誰にも、何にも傷付けることは絶対にさせない。 望むことを全て俺が叶えてあげたい。 綺麗な顔で笑う彼女を、俺の一生をかけてでも守り続けたい。 愛してる。 そんな気持ちを込めて、凛子にキスをした。
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