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抱かれた腰がグッと引き寄せられて、身体がより密着すると私の心臓がバクバクと音を立て始める。
鎖骨を這う赤い舌先が、首筋をなぞると春さんの唇が私の唇に触れた。
「ん…っ」
「口、開けて」
お風呂上がりで濡れた春さんの髪が頬に当たると、ひんやりとした感覚にまた胸が鳴る。
どこでスイッチが入ったのか、男性の色気をダダ漏れにしたその目に見られると私は生唾を飲む思いだった。
それでも緊張で口を開ける事すらできない私に痺れを切らせたのか、春さんの舌が私の唇を舐めると歯列をなぞりこじ開ける。
思わず開けてしまった口の中にすかさず舌が入り込んできて、私の舌を絡め取った。
頭の先から爪先まで痺れるような官能的なキスに、いつの間にか溺れていることに気付く。
初めてキスをした場所であの時とは全く別物の、息もままならないキス。
私を見上げるようにキスをする春さんに、私は何かを言う事も出来ずにただただ吐息を漏らす。
「凛子…可愛い…」
唇が離れた頃には骨が抜かれた様な感覚に陥り、手に持っていたタブレットは何処かへと行方を晦まし、その代わりに春さんの肩を掴んでいた。
甘すぎる感覚で何も考えられなくなる。
分かるのは、身体が春さんを求めていると言うことだけだった。
呼吸一つ乱れない春さんと目が合う。
綺麗なその瞳に見つめられると、私は息をするのも忘れそうになる。
言葉も発さないその時間は短い様で長く、確実に二人だけの世界を創り上げていた。
気持ちを窺うかのように、私は春さんの頬に触れた。
その途端、私を抱き上げるとそのままリビングを後にし、寝室へと連れていかれる。
広いキングサイズのベッドに優しく寝かされ、淡い光を放つルームライトだけが薄暗く照らす中、二人の影が重なった。
着ていたルームウェア。
一つ一つ、ゆっくりとボタンが外されて私の肌が露わになる。
身体中の線をなぞるように春さんの指があちこちに触れる度に、私の体はその優しい刺激に反応してしまう。
大きな手が背中に回るとすぐに胸の締め付けがなくなり、唇の柔らかい感触が胸元に届く。
ひんやりとした舌は徐々に熱を持ち、私の胸の先を転がす。
「…んっ……ふ…ぁっ…」
我慢が利かず、声が漏れ出てしまい咄嗟に手で口を押さえた。
その手を春さんに奪われ、指が絡まると恥ずかしさでおかしくなりそうだった。
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