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麗らかな春の昼下がり、美月が外に出ると甲高い声がした。 ? 暫く様子を眺めていたが、何も起こらない。しかし、先ほどの声は異様などころか、私が危ない気持ちになったから、只事ではない。 それにしても、私の日常はなんて、退屈なんだろう。 退屈って羨ましいワネ?と皮肉で忙しく動いている方達には申し訳ないんだけど、本当に羨ましく見えるのは、貴方だったりする。 そんな事をよく言われる。しかし、私がそれでイイと思っていないから、周りの人達とは、随分感覚がズレている。 その場にいる私は何が、周りに気に入らないのか、よくわからずにいた。 静かな夜が永い。 周りに友達はいない。私は、孤独なのか?案外、そんな暮らしはイヤではない。周りの楽しそうにウィンドショッピングしている、学生さん達は、皆何かを埋めるために買い物をしている。 そればかりしていて、多くのお金を稼ぎ、そして、私とはだから違うんだ。そう、思う。 私が、お金をそれ程欲しいと思わない。この事が全て、私が他人を妬まない訳だ。 欲しいものが沢山有る、色々買っていた10代の頃は無駄な日々だ。 沢山その読書や音楽に大金を注ぎ、全て無駄に録音して、溜まっていくダビングしたものは、もう、所持していない。沢山持っていた本を私は全て、メルカリに売り、そして、もう一切本を買わなかった。 それでも充分幸せだった。 夜は、レモンサワーで地元の美味しい唐揚げで乾杯していた。 静かな夜、そして美味しい酒。 私の舌が肥えてくる。美味しい料理と美味しいお酒。 それだけ有れば、他に何も要らない。 静かな夜に、音楽を何も掛けずに、自然の音に耳を澄ませて、カランとなるグラスの音に安心する。 グラスには水滴が滴り落ち、(しずく)が窓ガラスにも、垂れている。 外は雨だった。 ここ暫く、雨が続くだろう。 明日も仕事か…ため息が出たが、私が納得した人生だったので、悔いは無かった。 外は雨音(あまおと)が、激しく鳴り始めた。 どう言う訳か、電話越しで、漢友達が、エミネムのMUSIC TO BE MURDERED BYをやかましやかに、音量を大にして、かけ流していたので、イイ加減に電話を切らせて貰った。 そう言う音楽は、不愉快だ。 その男友達は、多分元来そんな性格なんだろう。私とは真逆な人生を歩んで、異なる価値観を育み、やさぐれて育って行った。終わっていたが、しぶとく足掻いている。 彼には参るぐらいに、彼女はそのバイタリティが何処から湧き出て来るのか、謎だ。 彼の好む音楽には、彼なりの意味がある気がする。 しかし、私が生きる意味とは全然違っていた。 その違いが、永い付き合いで分かった彼の性質で、距離感だった。
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