130人が本棚に入れています
本棚に追加
/631ページ
よしよしと頭を撫でたら、ゆっくり離れてくれた。ここまで慕ってくれるのに、戦いに協力してもらおうというのは……少し、申し訳なく思う。スグサさんは、どうしてたんだろう。一緒に戦ったりしてたのかな。
これが落ち着いたら聞いてみよう。
「では、魔法についてですが」
ロタエさんから水の魔法を聞く。幸い、私も本で読んだことのある魔法だったのでイメージはしやすいものだった。ただ上級魔法なので、力加減は注意が必要。呪文まではさすがに覚えきれない……ので、属性文のみでいく。
「ヒスイさんはコントロールがお上手ですから、心配でしたら弱すぎる程度の力でやってみて丁度いいかもしれませんね」
「褒められた……ありがとうございます。それでやってみます」
ロタエさんから魔法を習うのも久しぶりだなあと思いながら、唐突に褒められて浮つく気持ちを必死で抑える。
氷の上で、先頭に立つ。ウーとロロは足にくっついている。子ども体温なのか温かい。
「では」
両手を再度に広げ、大きく息を吸う。まずは、結界から。
「≪放り込まれた玩具箱≫」
実は一番使う頻度が多いんじゃないかと思われる、≪玩具箱≫。草木も取り込み、オアシスを含みつつ、余白に当たる砂漠地帯はなるべく入れないように展開した。草木の間から射していた日光すらも遮り、やや活動しやすくなった。
ルルたちの様子は……あまり変わらない。当然と言えば当然?
大事なのはここから。
「続いて」
二つの魔法の同時発動。実はこれもこの世界では常識外らしいけど、スグサさんは出来て当然のように言っていた。本当にスグサさんの言うことは当てになることも当てにならないこともある。
魔法の使用については信じてはいけない。
ロタエさんから教わった魔法。同じように両手を広げ、≪玩具箱≫の端っこから、水が湧き出るように。ただし威力は弱く、まずは地面にいるルルを流していく。
「水・上級魔法 ≪地下からの怒号は天をも貫く≫」
最初のコメントを投稿しよう!